Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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4月14日、4月例会が豊島区勤労福祉会館で開かれました。


発表は、黒田明さんの「横溝正史とルパン冒険譚について」と、浜田雄介さんの「探偵実話について 2」でした。


黒田明さん「横溝正史とルパン冒険譚について」
モーリス・ルブランが描いたアルセーヌ・ルパンシリーズの影響をうかがえる横溝正史の作品を取り上げ、その比較をしました。たとえば、横溝の戦前作品である『髑髏鬼』『殺人暦』『塙侯爵一家』などは、『813』の影響を、戦後作品においては『獄門島』『八つ墓村』『犬神家の一族』が『三十棺桶島』の影響を、それぞれ受けていることを具体的に作品の言葉を通して、また横溝自身の言葉を用いながら比較検証しました。



浜田雄介さん「探偵実話について 2」
3月例会の続きになります。今回は、「探偵叢話」のなかに登場する「清水定吉」について、その描き方を考察しました。帝都の空気を描く近代的装置や出来事を遂行するための勤勉という道徳、警察組織を食い破っていく変装変名などを取り上げ、また「探偵叢話」の外側に見られる明治期の深刻小説や通俗小説との関連性、現実世界を巻き込む物語の受容のされ方などを、虚構(物語)の幅の側面から分析をしました。