Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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7月12日、7月例会が専修大学神田神保町校舎で開かれました。

発表は、末國善己さんの「三津木春影『呉田博士』について」と大鷹涼子さんの「夢野久作ドグラ・マグラ』出版前後」でした。



末國善己さん「三津木春影『呉田博士』について」
・三津木春影の『呉田博士』について、その成立までの書誌的な軌跡と、江戸川乱歩横溝正史をはじめとする先行研究の言葉から作品における「翻案」や「翻訳」のあり方、また「訳出状態はかなり自由」という内容について考察をしました。フリーマンの作品内容からの分析や、日露戦争後の時代状況との関連について言及しました。さらに『呉田博士』がヒットしたことに関して、探偵小説としての面白さはもちろん、明治末から本格し始めた警察における科学捜査の啓蒙書として、最新情報が詰め込まれていたことを特徴の一つとしてあげました。




大鷹涼子さん「夢野久作ドグラ・マグラ』出版前後」
夢野久作の『ドグラ・マグラ』(昭和10年1月15日)刊行までの経緯を、久作の日記や神田豊穂、澄二親子からの書簡の言葉などから分析しました。久作と春秋社側のやりとりが『ドグラ・マグラ』成立の、もうひとつの姿を際だたせてくれます。