Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

『新青年』研究会の最新情報をお伝えするブログです。

3月7日、3月例会が専修大学神田校舎で開かれました。

発表は、湯浅篤志さんの「角田喜久雄とスキー ――「死体昇天」を視座として」でした。 

湯浅篤志さん「角田喜久雄とスキー ――「死体昇天」を視座として」 
・小説家の角田喜久雄は、昭和3年ころからスキーに親しみ、信州のスキー場によく出かけていました。彼の作品に「死体昇天」(『新青年』昭和4年8月号)がありますが、そこではスキー場での事故(?)を素材にして物語を展開していました。一方、明治の終わりに日本にもたらされたスキーは、長野県を中心に広まっていきます。旅行随筆家松川二郎は、その著書の中で、長野の温泉場とスキー場の関係を述べていましたが、それは田山花袋の随筆にも見られる通りです。また、信州のスキー場と温泉場には、大坪砂男や谷崎終平らも訪れていました。昭和初期のスキーブームとそれを題材に取り上げた「死体昇天」との接点を考察しました。