Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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1月23日、1月例会が専修大学神田校舎で開かれました。

発表は、黒田明さん「高木彬光の時代小説」でした。

黒田明さん「高木彬光の時代小説」
高木彬光と時代小説の関係は、作家デビュー当時にまで遡ります。「刺青殺人事件」でデビューした翌年に書かれた短編の捕物作品「鬼の腕」を初め、昭和20年代は妖艶怪奇な読物が捕物帖・時代小説の中心でした。続く昭和30年代は量産時期であり、この時に時代小説の大半が発表され、大前田英策シリーズの登場とリンクするようにアクション重視の作品が多く書かれました。昭和40〜50年代になると、歴史のifや史実への小説的解釈をテーマにした短編が数多く発表されています。作風やテーマの変化に時代別の傾向が見られ、作家生活との関わりも大きい分野でありながら、高木の時代小説については作品研究があまり行われておらず、書誌も不完全な状態にあります。高木にとっての時代小説観の研究を中心に、各作品のデータを分析しつつ、時代物の存在を考慮した高木彬光全体像の再評価につなげることの必要性も分かりました。