★ 川崎賢子さん、小松史生子さん、谷口基さん、浜田雄介さんが、9月4日(日)に立教大学で行われる公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」に講師として登壇されます。
・公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」
期日 9月4日(日) 13:00~18:00
場所 立教大学池袋キャンパス 14号館3階 D301教室
江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
科学研究費(基盤研究B)
「近代日本探偵小説研究の基盤整備:資料の調査・保存・公開とその活用」
(代表:浜田雄介、2019-2022)
申し込み 事前申し込み不要・参加費無料
主旨
雑誌『宝石』は1946年に岩谷書店が創刊した日本を代表する探偵小説雑誌である。だが、当時の日本は図書館等の資料保存機関は予算が不足しており、収書方針も明確になっていなかったため、『宝石』のような読物雑誌の多くが保存されないまま稀覯雑誌になってしまった。そこで、今回の登壇者たちは、浜田雄介を研究代表として科学研究費(基盤研究B)「近代日本探偵小説研究の基盤整備:資料の調査・保存・公開とその活用」を取得し、探偵小説に関する資料の発掘、蒐集、保存を進めてきた。『宝石』に関しても戦後占領期の発行分を対象とする復刻版の出版および解題執筆に取り組み、2022年度にそれが完結する見込みとなった。今回のシンポジウムは、『宝石』の復刻版作成と解題の執筆過程で明らかになったことを踏まえて、出版文化史における『宝石』の役割を検証するとともに、『宝石』が日本の探偵小説にもたらしたものは何であったのか、そこから誕生した書き手や作品がのちの探偵小説の可能性をどのように切り拓いていったのかを議論する。
プログラム
13:00~13:10 趣旨説明
13:00~13:30 1946年「金田一耕助、登場」石川巧(立教大学)
13:30~13:50 1947年「探偵小説界の組織化と拡張の野望」金子明雄(立教大学)
13:50~14:10 1948年「<移動>の表象と言説」川崎賢子(清華大学)
14:10~14:30 1949年「新人作家をめぐる隘路」山口直孝(二松学舎大学)
休憩(10分)
14:40~15:00 1950年「岐路にさしかかった「探偵小説」」谷口基(茨城大学)
15:00~15:20 1951年「ラジオと映画と探偵小説」浜田雄介(成蹊大学)
15:20~15:40 1952年「風俗とジェンダーの狭間で」小松史生子(金城学院大学)
休憩(10分)
14:50~16:10 ディスカッサント 戸川安宣(編集者)
16:10~17:00 ディスカッション
講師
立教大学文学部文学科日本文学専修教授
石川 巧
立教大学文学部文学科日本文学専修教授
金子 明雄
立教大学特定課題研究員・兼任講師、清華大学日本研究センター客員研究員、日中イノベーションセンター主席研究員
川崎 賢子
日本近現代文学・文化、映画、演劇。探偵小説関連の仕事に分担執筆「「新青年」読本」(作品社、1988)、共編著「定本久生十蘭全集」(国書刊行会、2013)、「定本夢野久作全集」(国書刊行会、2016〜刊行中)、「江戸川乱歩新世紀」(ひつじ書房、2019)、編著に「久生十蘭短篇選」(岩波文庫、2009)、「墓地展望亭・ハムレット他六編」(岩波文庫、2016)など。
金城学院大学文学部教授
小松 史生子
日本近現代文学・比較文学・大衆文化。探偵小説関連の仕事に、単著『乱歩と名古屋 地方都市モダニズムと探偵小説原風景』(風媒社 2007)、『探偵小説のペルソナ 奇想と異常心理の言語態』(双文社出版 2015)。共編著『〈怪異〉とナショナリズム』(青弓社 2021)。解題・解説『猟奇【復刻版】』全6巻(三人社 2013~2014)、『鬼【復刻版】』全1巻(三人社 2018)。監修・解説『江戸川乱歩全集』全20巻(小学館電子全集 2016~2018)など。
茨城大学人文社会科学部教授
谷口 基
日本近代文学専攻。探偵小説関連の著書に『戦前戦後異端文学論 奇想と反骨』(新典社、2009)『戦後変格派・山田風太郎 敗戦・科学・神・幽霊』(青弓社、2013)『変格探偵小説入門 奇想の遺産』(岩波書店、2013)、共編著に『定本夢野久作全集』(国書刊行会、2016~)『日本探偵小説を知る 一五○年の愉楽』(北海道大学出版会)(北海道大学出版会、2018)など。
成蹊大学文学部教授
浜田 雄介
駿河台大学を経て成蹊大学文学部教授。近代日本文学。文学修士。『新青年』研究会会員。2021年、神奈川近代文学館「創刊101年記念展 永遠に「新青年」なるもの」編集委員。
編著に『子不語の夢─江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』(皓星社、2004年)、『江戸川乱歩作品集』(岩波文庫、2017-2018年)、『渡辺啓助探偵小説選1』(論創社、2019年)など。
二松学舎大学文学部教授
山口 直孝
日本近代文学。横溝正史旧蔵資料(二松学舎大学所蔵)の整理調査を継続中。探偵小説関連の仕事に『横溝正史研究』(江藤茂博、浜田知明との共編著、戎光祥出版、2009~、既刊6冊)、横溝正史『完本 人形佐七捕物帳』(浜田知明、本多正一との共編、春陽堂書店、2019~2021、全10巻)などがある。
ディスカッサント
元・東京創元社社長
戸川 安宣
1970年、立教大学文学部史学科卒。在学中に立教ミステリ・クラブ創立(顧問は江戸川乱歩の子息・平井隆太郎)。東京創元社社長、会長を歴任。ミステリ評論家。ミステリ専門書店「TRICK+TRAP」元店主。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ、SRの会、探偵小説研究会会員。本格ミステリ作家クラブ元事務局長。探偵小説研究会会員。
単著『ぼくのミステリ・コンパス朝日新聞コラム1978—1992』(龜鳴屋、2021)。編著『世界推理短編傑作集6』(創元推理文庫、2022)がある。共著『少年探偵団読本—乱歩と小林少年と怪人二十面相』(情報センター出版局、1994)、『本格ミステリ・ベスト100 1975-1994』(東京創元社、1997)、『暗号と名探偵』(ポプラ社、2001)、『幻影城の時代:完全版』(講談社、2008)、『ミステリーが生まれる』(風間書房、2008)、『ベスト本格ミステリ2013』(講談社ノベルス、2013)、『ミステリ編集道』(本の雑誌社、2015)、『ぼくのミステリ・クロニクル』(国書刊行会、2016)など。
※立教大学のHPも、ご覧ください。