Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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6月9日、6月例会が専修大学神保町校舎で開かれました。


発表は、黒田明さんの「横溝正史の別名義作品」と、大鷹涼子さんの「夢野久作ドグラ・マグラ』「はしがき」(草稿)に関する考察」でした。


黒田明さん「横溝正史の別名義作品」
横溝正史の別名義作品に関する報告を行いました。「江戸川乱歩」名義で作品を発表した理由、「鈴木伝明」名義の作品「幽霊嬢」が横溝正史の作品であることについての考察、「阿部鞠哉」名義の創作、「浅沼健治」名義の翻訳などを取りあげ、また無署名の翻訳作品や「蓼科三」訳の翻訳、「川崎七郎」名義の創作について、その信憑性も含めて分析をしました。



大鷹涼子さん「夢野久作ドグラ・マグラ』「はしがき」(草稿)に関する考察」
夢野久作ドグラ・マグラ』には、活字化されなかった「はしがき」が存在します。福岡県立図書館杉山文庫には、この「はしがき」の草稿が5種存在していますが、その5種すべての「はしがき」草稿を対象に、概要と構成のポイントを説明し、久作の日記や川田功の書簡を参照しながら、執筆順序の推定や各草稿原稿の性質、特徴を分析しました。さらに、「はしがき」の内容と『ドグラ・マグラ』の構成との関係も述べました。なお、本論は『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』第23号(2007年3月)に掲載。