Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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3月29日、3月例会が専修大学神田神保町校舎で開かれました。


発表は、小松史生子さんの「乱歩と名古屋」でした。


小松史生子さん「乱歩と名古屋」

江戸川乱歩と名古屋の関係を考えたとき、「名古屋のモダニズム」が背景として浮かび上がってきます。たとえば、名古屋経済界の動きです。名古屋の「渋沢栄一」と称される奥田正香と、乱歩の父、平井繁男の関係も問題になります。また、名古屋への鉄道誘致に関しては、尾張藩士の頑張りと先進した都市構造計画が取りざたされるでしょう。さらに、博覧会で名古屋のモダニズムが発展していったことも考えなければなりません。以上のような背景を踏まえたうえで、乱歩の分析が必要になります。ここで話題を大きくすれば、このような問題系は、探偵小説における〈中央/地方〉の構造を喚起しますし、名古屋、大阪、東京を経験した乱歩における〈中央/地方〉のあり方も考察の対象にします。