Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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5月29日(土)に、5月例会が専修大学神田校舎で開かれました。
発表は、平山雄一さんの「『中央少年』第二巻第四号について」および「野村胡堂山中峯太郎の関係について」でした。

・「『中央少年』第二巻第四号について」
江戸川乱歩が少年時代に仲間とともに作った同人誌『中央少年』は、第二巻第一号が乱歩邸に現存していますが、今回、第二巻第四号を発見されましたので、その内容の紹介をしました。のちの乱歩平井太郎少年はオ伽噺「テイテツ」とポンチ絵「凸凹・鉢合せ」を寄稿し、さらに隠し絵、すべての外の作品に挿絵を描いていました。さらにライバル雑誌の存在に怒りをぶつけ、次号からは写真銅版を導入すると予告していました。また平井太郎の次回作品として「海底魔人」も予告されています。しかし『中央少年』はこの号で途絶してしまったとおもわれます。



・「野村胡堂山中峯太郎の関係について」
藤倉四郎『バッハから銭形平次 野村胡堂・あらえびすの一生』(青蛙房、平成十七年)に、山中峯太郎がおこした淡路丸事件は胡堂への個人的な怨念が動機であるとかかれていましたので、検証をおこないました。しかし、ここに書かれているように峯太郎は胡堂が勤める報知新聞社の記者・通信員であったことはなく、また『人類館』事件当時はまだ峯太郎は現役将校であり、これを原因に逆恨みする理由がありませんでした。さらに事件後峯太郎が勤める朝日新聞社は、ただちに退社を命じた社告を出していますが、報知新聞社は一切そのような広告は掲載していません。よって峯太郎と報知新聞社は全く接点がなく、上に述べたような動機は完全に否定されたと考えるべきであるというのが結論です。