Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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1月例会が、1月29日に専修大学神田校舎で開かれました。発表は、平山雄一さんの「江戸川乱歩『何者』と日本陸軍」でした。


平山雄一さん「江戸川乱歩『何者』と日本陸軍



江戸川乱歩『何者』(1929年11月〜12月)を題材にして、日本陸軍の徴兵制度および徴兵忌避の実態を考察しました。
平時は徴兵検査に合格しても籤逃れが出来、しかも徴兵猶予を受けた高学歴者は軍からもむしろ敬遠されて入隊するものが少なかったということがあります。
しかも、当時の宇垣軍縮により定員が減少しさらにその傾向が強かったにもかかわらず、登場人物の弘一らが入隊したのは徴兵されたのではなく一年志願兵制度によるものだったといえるでしょう。
それは父親が将軍という世間体、さらには万一戦時になったときに一兵卒として戦地に赴かなくてはいけないことを回避する為でしたが、そのような父親の配慮をくむことなく息子は軍隊を拒否したという、家庭内の相克も一つの動機だったと思われます。