Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

『新青年』研究会の最新情報をお伝えするブログです。


10月6日、専修大学神田校舎で、「久生十蘭を語る ---没後50年・全集刊行に向けて---」をテーマにしたトークショーを夕方5時30分より開催しました。パネラーの方々は、江口雄輔さん(昭和女子大学)、川崎賢子さん(文芸評論家)、沢田安史さん(SRの会)、磯崎純一さん(国書刊行会)で、司会を浜田雄介さん(『新青年』研究会)が行いました。

皆さんの久生十蘭研究エピソードからお話しが始まり、三一書房版と今度刊行される国書刊行会版との違いのこと、編集作業の実態、たとえば、十蘭は自分の作品を改稿することで知られていますが、それをどのように判断するか、また、十蘭の書き癖をどう見るかなどをお話しされました。国書刊行会版は、編年体を採用するのですが、はじめて全集に収録される作品についての探索エピソードや、戦中から戦後にかけての作品への思いなど、熱く語ってくださいました。さらに、所在不明の作品についても報告されました。「をがむ」という作品の『東京新聞』昭和20年6月掲載分、十蘭函館時代の同人誌「生」に掲載された「九郎兵衛の最後」、戦中の「戦線文庫」に掲載された「軍艦行進曲」という作品が未確認だと紹介され、所在情報などについての協力を呼びかけられました。

サプライズもありました。十蘭の著作権継承者の三ツ谷洋子さんも会場にお出でになってくださったのです。このたび講談社から発売されます『従軍日記』のことについて、その発見エピソードや出版にいたるまでの経緯をお話しして下さいました。講談社の編集のかたもお見えになって、お話しをいただきました。さらに久生十蘭オフィシャルサイト準備委員会ブログでお馴染みの亜子十郎さんもおこし下さって、十蘭の訪れたフランスのかの地を最近訪問したときのエピソードを語ってくれました。皆さん、ありがとうございました。

さて休憩の後は、会場からの質疑応答に移りました。しかしその前に、本日10月6日は十蘭の命日でしたので、亜子十郎さんご用意による献杯をいたしました。亜子さんには、献杯の音頭もとっていただき、お世話になりました。

会場からは、テクスト校訂の問題についてや月報のあり方、はたしてオマケのCDは付くのか、また肝心の値段の問題とか、活発な質問が出されました。パネラーの皆さんもたじたじになるような質問もあり、盛り上がりました。

夜8時には、盛会のうちに無事終了。たいへん充実したトークショーになりました。会場に来て下さった皆さん、どうもありがとうございました。



関連サイト
久生十蘭オフィシャルサイト準備委員会
http://blog.livedoor.jp/hisaojuran/

国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/